あなたの「会計ソフト選び」の基準は?
確定申告の季節。私たち個人事業主にとって、避けては通れない、1年で最も面倒な「雑務」のひとつです。
そして、この雑務を乗り切るための“相棒”が、「会計ソフト」です。
「クラウド型がいい」「UIが直感的なものがいい」
今、世の中には様々な選択肢があります。
しかし、この記事で、私が今使っているソフト(弥生のデスクトップ型)を、「皆さんにお勧めします」と言うつもりはありません。
なぜなら、それは「一般的なCAD副業」をされている方にとって、ベストな選択とは言えないからです。
これは、「私にとっては使いにくい」ソフトを、なぜ私が選び、使い続けているのか、その“特殊な事情”と、その“経験”から学んだ「道具選びの哲学」についての物語です。
私がこの“道具”を選んだ、極めてニッチな理由

私が「弥生のデスクトップ型」を選んだ理由は、ただ一つ。
「私と両親、それぞれの事業(=複数の事業データ)の確定申告を、一つのソフトで、コスパ良く管理できる」
という、極めてニッチな“家庭の事情”をクリアできるのが、これしかなかったからです。
この「複数申告」という課題を解決してくれる点においては、私にとって「正解」のソフトでした。
“道具”が、作業効率に与える「リアルな不満」

しかし、その「正解」は、同時に“妥協”でもありました。
特に、クラウドで働くCADオペレーターとしての「私個人の使い勝手」においては、多くの“やりにくさ”を抱えることになったのです。
- UI(見た目)が古い: 10年以上変わっていないような画面で、直感的ではありません。
- ボタン配列が独特: よく使う機能が、なぜそこにあるのか…と悩むことがあります。
- クラウドではない: あのPCでしか作業できず、場所を選びます。(銀行口座連携などはできるはずですが、私は活用できていません)
本業のCAD作業では「効率化」を追求している私にとって、この「非効率な雑務」は、毎年、「やりにくいな…」と感じるストレスの原因になっています。
「非効率」から学んだ「効率化の哲学」

この「確定申告の“やりにくさ”」こそが、私の「効率化への情熱」の、本当の源泉なのかもしれません。
この経験から、私は一つの「哲学」を学びました。
「“道具(モノ)”が非効率だと、本当にストレスが溜まる。
かといって、私は“ケチ”なので、最新・高価な道具を次々に買うタイプでもない。
だからこそ、“今ある道具”を前提に、お金のかからない『仕組み(コト)』で効率を極める」
なぜ、私が「マウス」や「左手デバイス」という“良い道具”を選ぶのか?
それはもちろん、効率化の「土台」として重要だからです。
【2025年版】CAD作業が爆速化!おすすめ左手デバイスと私の全試行錯誤の歴史
しかし、私がそれ以上にこだわっているのは、「現状の道具」で妥協している部分も多いからこそ、
「テンプレート化」
「レイヤー管理」
「単語登録」
といった、“道具の使い方”や“作業の仕組み”を徹底的に磨き上げることです。
使いにくい道具”がもたらす「非効率さ」を、この確定申告ソフトで、毎年、骨身に沁みて感じているからこそ、本業では「仕組み」で効率化することに、誰よりもこだわっているのです。
【まとめ】もし、私が“今”ゼロから選ぶなら

ですから、もしあなたが「私のような“ニッチな事情”」が無い、一般的なCAD副業(またはソロのフリーランス)の方なら。
私なら、自分が今感じている“不満”の、真逆の基準で「会計ソフト」を選びます。
- (× デスクトップ型) → 〇 クラウド型であること
- (× 複雑なUI) → 〇 直感的で、スマホでも使えること
- (× 未活用) → 〇 銀行口座やクレカと自動連携できること
さらに、もう一つの“戦略的”な視点
そして、もしあなたが「会社員」ではなく、私のように「“個人事業主”として本格的に事業を運営している」のであれば。
(そして、将来の「マイクロ法人化」というキーワードが少しでも頭にあるのであれば)
“道具選び”には、もう一つ重要な視点が加わります。
(※重要※ 読者の方へ:
この視点は、「会社員」の方が「副業」としてCADオペをされている場合には、当てはまらない可能性が高いです。むしろ給与合算などでデメリットになる場合もあるため、あくまで「個人事業主」としての戦略的視点です。)
それは、「個人事業主」から「法人」へ、シームレスにデータやプランを移行できるか?という視点です。
私が使っているデスクトップ型は、個人と法人でソフトが完全に別です。
しかし、「freee」や「MFクラウド」のようなクラウド会計ソフトは、「個人事業主版」から「法人版」への移行がスムーズにできるよう設計されていることを「ウリ」にしています。
「将来の二重投資」を防ぐという、私の「ケチマインド」的にも、これは非常に合理的な“基準”になると、私は今、強く感じています。
(実際、私もMFクラウドの家計簿機能など、もし今からゼロで選ぶなら…と、とても気になっています)
※以下私調べ比較表
| 比較項目 | 弥生 青色申告(デスクトップ) | やよいの青色申告 オンライン | freee 会計 | MFクラウド 確定申告 |
| 製品カテゴリ | インストール型(PC固定) | クラウド型 | クラウド型 | クラウド型 |
| UI/使い勝手 | 伝統的・複雑 | デスクトップよりは新しい | 直感的・簿記初心者向け | freeeよりは簿記的・多機能 |
| 自動連携 | 機能はあるが、クラウド型に比べると設定が煩雑な場合が多い | ◎ 可能 | ◎ 可能 | ◎ 可能(連携先が豊富) |
| Mac対応 | 不可(Windows専用) | ◎ 可能(ブラウザ) | ◎ 可能(ブラウザ) | ◎ 可能(ブラウザ) |
| 複数申告 | ◎ 可能 | △(1事業所ごと) | △(1事業所ごと) | △(1事業所ごと) |
| 法人化への連携 (最重要) | × シームレスではない 「弥生会計(法人版)」は完全に別製品。データ移行は手動(期首残高の再入力など)となり、二重投資と手間が発生する。 | △ やや難あり 法人版は別プラン扱い。freee/MFほどの「シームレスさ」は謳っておらず、データ移行の手間は残る。 | ◎ シームレスな移行を“ウリ”にしている 「法人成り」機能があり、勘定科目や取引先データを引き継いで、スムーズに法人プランに移行できる。 | ◎ シームレスな移行を“ウリ”にしている 個人プランから法人プランへのデータ移行をサポート。将来の二重投資を防げる。 |
“道具選び”は、もちろん重要です。
しかし、それ以上に、「今ある道具で、いかに効率的な“仕組み”を作るか」という“思考法”こそが、あなたの時給を上げ続けます。
私の「5つの仕組み」も、全てこの「道具選びの哲学」と「仕組み化の思考法」に基づいています。
雑務に時間を奪われる人生ではなく、本業で時給を上げるための“仕組み”に、賢く投資していきましょう。


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