なぜ、今も多くのCADオペレーターが「左手デバイス」にたどり着くのか?
CADの作業効率を上げる方法は数多くありますが、多くの熟練者が最終的にたどり着く“答え”の一つが「左手デバイス」の導入です。
「本当にそんなに変わるの?」
「たくさん種類があって、どれを選べばいいか分からない…」
この記事では、そんな疑問に答えるため、単におすすめのデバイスを紹介するだけではありません。
私自身が、いくつかのデバイスで失敗と試行錯誤を繰り返しながら、現在の愛用機にたどり着くまでの“全遍歴”を、包み隠さずお話しします。
この記事を読み終える頃には、あなたにとって最適な一台を見つけるための、確かな判断基準が身についているはずです。
【追記】そして、最高の左手デバイスは、あくまで“始まり”に過ぎません。
この記事の最後では、左手デバイスの性能を120%引き出し、私の作業時間を半分にした「5つの仕組み」の全貌へと繋がる道筋も示しています。まずは、あなたにとって最高の“相棒”を見つけることから始めましょう。
私の左手デバイス遍歴 “遠回り”こそが、最適解への近道だった

試行錯誤①:Microsoft Number Pad – デザイン性は最高、でも…

最初に選んだのは、見た目もスタイリッシュなこの一台。Microsoft Designer Compact Keyboardとセットで使うことでデスク上がさらにおしゃれになります。しかし、ショートカットの割り当てに制限が多く、設定が頻繁に消える不具合も…。効率化を目指す上では、すぐに限界を感じました。
試行錯誤②:ミヨシ ワイヤレステンキー – “惜しい”一台

次に試したのが、キー割り当ての自由度が少し上がったこのモデル。しかし、BS(バックスペース)キーが物理的に押しにくい位置にあるなど、細かなストレスが蓄積。長時間の業務で使うには、あと一歩届きませんでした。
現在の愛用機:JWSYSTEM MKBJシリーズ – ようやく見つけた“相棒”

そして、ようやくたどり着いたのがこのデバイスです。全キーを自由にカスタマイズでき、キー数も十分な35キー。初めて「指に馴染む」という感覚を得ることができました。
結論:私が左手デバイスを選ぶ上で絶対に譲れない「3つの条件」

この遠回りがあったからこそ、今の私には、デバイス選びで失敗しないための明確な基準があります。それは、「ソフトウェア」と「ハードウェア」の両面から判断することです。
- 条件①:完全なカスタマイズ性(ソフトウェアの自由度)
→ これが全ての土台です。一部のキーしか変更できないデバイスでは意味がありません。「全てのキー」に、「自分の好きなコマンド」を制約なく割り当てられることが絶対条件です。 - 条件②:快適なキー配置(ハードウェアの形状)
→ いくらソフトウェアで自由に設定できても、デバイス自体の物理的なキー配置が快適でなければ意味がありません。特に、BS(バックスペース)やESCキーなど、とっさに多用するコマンドを割り当てたいキーが、ホームポジションから自然に指を伸ばせる、押しやすい位置や大きさになっているかは、必ず確認すべき重要なポイントです。 - 条件③:テンキー機能も兼ねる、十分なキー数
→ 私のワークフローでは、左手デバイスは単なるショートカットキーではありません。数値入力や四則演算も左手で行うため、「テンキー」としての役割も兼ねています。そのため、ショートカットキーとテンキーの機能をすべて網羅できるだけのキー数は、絶対に譲れない最重要ポイントでした。「あれもこれも」と欲張る必要はありませんが、ご自身の作業スタイルで必要なコマンド数を洗い出し、それに十分見合うキー数があるかどうかは、購入前に必ず確認しましょう。
「でも、キー配置を覚えるのが大変そう…」を乗り越える“アナログ”な工夫

「キー数が多いのは分かったけど、そんなにたくさんの配置を覚えられる自信がない…」
はい、その不安は非常によく分かります。正直に言うと、私も最初の1週間は「あれ、コピーはどのキーだっけ?」と迷うことがありました。
しかし、そのハードルは、ちょっとした工夫で簡単に乗り越えられます。
最初は「見て押す」でOK。そして“目印”をつける
全てのキーがフラットで、どこがどのキーか分かりにくい。そんな時に役立つのが、アナログな“目印”です。
私の場合は、最も重要なESCキーに、子供からもらった凹凸のあるシール(ひよこ)を貼っています。

この小さな突起があるだけで、キーボードを見なくても指先の感覚だけでホームポジションを確認でき、ミスタッチが劇的に減りました。
最初はカンペを見ながらでも、シールを目印にしながらでも構いません。
1週間、2週間と使い続けるうちに、指が自然とキーの位置を覚えていき、最終的にはキーボードを見ることなく、思考のスピードでコマンドを実行できるようになります。最初の小さなハードルを、ぜひアナログな工夫で乗り越えてみてください。
最強の作業環境を構築する、最後のピースたち

最高の左手デバイスを手に入れても、それだけでは真の効率化は達成できません。 左手デバイスという強力な武器の性能を120%引き出すためには、それを支える「PC環境」や「他の仕組み」との連携が不可欠です。
- “仕組み”の最適化:“作図前”の準備が9割 → どんなに速く操作できても、毎回ゼロから設定していては意味がありません。テンプレートとMODで、そもそも操作する必要のない作業を減らす「仕組み化」が重要です。
脱・自己流!RIKCADの作図スピードが2倍になる「テンプレート」と「MOD」活用術
- “右手”の最適化:最高の相棒(マウス)と魔法(ジェスチャー)
→ 右手の効率化は、自分に合った物理的なマウス選びから始まります。そして、その性能を120%引き出すのがマウスジェスチャーです。この両輪を揃えることで、初めて「両利きのCADオペレーター」になれます。私のマウス選びの全試行錯誤と、具体的なマウスジェスチャー活用術も、ぜひ参考にしてください。
- “性能”の土台:PCスペックの見直し → 左手デバイスやマウスがF1マシンのエンジンのだとしたら、PC本体はそれを支える車体です。全てのパフォーマンスを決定するPCスペックも、軽視できない重要な要素です。
【2025年版】RIKCADのPC選びで失敗しないための全知識|Windows11移行の罠と推奨スペック
- “身体”の土台:デスク環境の整備 → そして、長時間快適に作業を続けるためには、モニターやデスク、チェアといった物理的な作業環境が、あなたの身体を支える土台になります。私のデスク周りの工夫は、こちらのデスクツアーの記事で詳しく紹介しています。
RIKCAD推奨スペックと快適作業環境|パソコン・周辺機器を現役ユーザーが解説
【まとめ】あなただけの「最強の作業環境」を目指して
今回ご紹介した私の経験が、あなたのデバイス選びの一助となれば幸いです。 大切なのは、高価なデバイスを買うことではなく、あなた自身の作業フローに合った、最高の“相棒”を見つけることです。
私の効率化の“全貌”をnoteで公開しています
この記事で紹介した工夫は、ほんの一部です。 私が時給833円から抜け出すために構築した「作業時間を半分にし、時給を2倍にする5つの仕組み」の全てを、有料noteで公開しています。
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